三城物語(福山・岡山・岐阜)

2023/04/03 ~ 2023/04/05

プロローグ

図らずもJRの青春18きっぷ春季の利用期間中に有給休暇が取れ、三連休にできた。二泊三日で遠出をするチャンスである。いくつかの候補の中から、100名城めぐりを優先させることにした。目指すは福山城岡山城である。西日本に住んでいた時期に、この両城とも訪れる機会があったのに、改装工事中で登城できずじまいだったのだ。どちらも改装工事は終わっているのだが、現在住んでいる上越市からでは600km以上離れていて、そう簡単に行ける場所ではなくなってしまっていた。だが、二泊三日なら青春18きっぷを使った貧乏旅行でも十分可能である。帰りしなに岐阜城にも立ち寄れそうなので、合わせて未登城の3城をめぐることにした。


一日目

一日目は移動がメインである。宿泊先のホテルがある東福山駅まで22時までに到着しなくてはいけない。貧乏旅行の朝は早い、直江津駅からに5時13分発の日本海ひすいライン糸魚川に向かう。乗客は私だけだ。できればJR線だけ利用したいところだが、それだと西日本へ向かうには極端に遠回りになってしまうので仕方ない。糸魚川駅大糸線に乗り換え。ここから先は青春18きっぷの出番である。少ない乗り換え時間で18きっぷにスタンプを押してもらおうと階段を駆け上がるが、改札に駅員の姿はなかった。改札前で別れを惜しんで抱き合うカップルがいるだけである。朝っぱらから見せつけやがって。結局、スタンプは松本駅まで押せなかった。

松本駅付近を散策

大糸線で2回あった乗り換えはスムーズにいったものの、松本駅から名古屋方面への接続が悪く1時間以上空くことになる。この空き時間を利用して、松本市のマンホールカードをもらいに行く。まず対象のマンホール蓋がある松本市美術館前へ向かう。道すがらいくつも同じものを見かけたが、何やら巨大オブジェがあるということなので美術館まで行った。そこには草間彌生さんの奇抜なオブジェが展示されていた。このオブジェで正解なのだが、勝手にマンホール蓋のデザインになっている松本てまりのオブジェがあると思い込んでいたので、しばらく辺りを探し回ってしまった。結局見つからず、何となくモヤモヤした気分のままカード配布場所の観光案内所へ向かう。近くの松本城にもちょっとだけ立ち寄った。何度見ても写真映えのする美しい城である。桜と一緒にカメラに収めようとしたがいまいちだった。松本駅周辺は桜がちょうど見ごろで川沿いの桜は満開であった。

軽く朝食をとった後、電車移動を再開し名古屋方面へ向かう。途中、中津川駅での20分弱の乗り換え時間で中津川市のマンホールカードをゲットしている。

駅メモ!」の不具合に直面

始発から「駅メモ!」(位置情報ゲーム)をプレイしながら移動していたのだが、7時45分あたりから起動できなくなった。この日は深夜から朝方にかけてメンテナンスが行われており、その影響だと思われる。復旧したのは14時過ぎ。復旧に6時間もかかったことになる。不具合の原因について報告はなく、お詫びのアイテム配布とイベント時間の延長で済まされたが、納得いかない人も多かったはず。私自身、旅行中に不具合に見舞われたのは初めてでとても困惑した。イベント目的の旅行ではなかったし、二度と訪れることがないような場所ではなかったのがせめてもの救いか。

名古屋駅でつまづく

津川駅から中央本線名古屋駅へ向かう車中で、東海道線に遅れが出ているという情報は得ていた。名古屋駅から先もまだまだ移動は続き、4回の乗り換えが予定されている。乗り継ぎがうまくいかなければ、最悪の場合、ホテルのチェックイン時間に間に合わない。とはいえ、この時は名古屋駅到着まで1時間以上あるし、それまでには遅れが解消されているだろうとそれほど心配はしていなかった。

名古屋駅に予定通り到着、駅の案内表示に遅れの文字はなく、ほっと胸をなでおろす。東海道線のホームで待っていると、程なくして岐阜駅行きの各駅停車が到着、問題なく運行しているようだ。だが、私が乗りたい新快速・大垣行きは定刻を過ぎても来る気配がない。ホームは人がごった返し、地方民の私は電車に乗り込めるのか不安になっていた。5分後、隣駅で人身事故があったとのアナウンスが入る。なんてこった。人身事故では運転再開するのは当分先であろう。これで在来線を乗り継いで東福山駅まで行く道は断たれた。

名鉄線への振替輸送があるようだが遠回りしている余裕はない。残された道は「新幹線に乗る」しかない。出費は抑えたいので米原駅まで新幹線を利用することにする(3100円の出費)。名古屋駅を30分遅れて出発したのに、米原駅には予定より30分早く到着した。さすが新幹線だぜ、高いだけのことはある。そこからはまた当初の予定通り、在来線に揺られること5時間、無事東福山駅へ到着した。

 


二日目

二日目は福山城岡山城を見て回る。まずは福山駅へ移動。春休み中で学生の姿は少なめだが、8時前ということもあり通勤通学の乗客でにぎわっている。逆に観光客の姿は少なめだ。

登城前の散策

福山城口というだけあって、出てすぐに福山城が見える。お城に行く前にデザインマンホール蓋を見に行く。石垣沿いに歩いた先にある歴史博物館の前まで見に行ったが、実は駅前の横断歩道にもあることに後から気付いた。福山城と鎧兜姿のカープ坊やというカッコいいデザイン。残念ながらこの時は在庫切れで、カードは入手できなかった。

福山城

改装工事中の期間に天守以外は観ているので、今回は軽めの見学。南口から筋鉄御門を通って天守へ向かう。

南口付近の石垣

打ち込み接ぎの石垣。一部に四角、マイナスねじ、「大」の字などの刻印あり。

伏見櫓

築城時に伏見城から移築された櫓。国の重要文化財

筋鉄御門(すじがねごもん)

本丸へ入る正門。国の重要文化財

本丸と天守

お花見イベントの期間中のようで、屋台が何店か設営されていた。肝心の桜は散り始めで、朝早いこともあり花見客はいなかった。

天守内部は福山城博物館になっている。フロアごとにシアターがあり、福山城の歴史のほか、福山にゆかりのある水野勝成阿部正弘についても動画で学べる。開館直後ということもあり客は少なく、座ってゆっくり鑑賞できた。朝早くから小難しい長文の資料を読まずに済むのはありがたい。ちなみに100名城スタンプは券売機のそばにあるので、入館しなくても押印可能。

天守北側鉄板張り

天守の北側だけ鉄板が張られているという福山城の最大の特徴。天守入口の真裏にあたるため、見ないで帰ってしまう人も多そうだ。現にこちら側にはほとんど人がいなかった。

10時15分ぐらいには東口を通って福山駅へ向かったのだが、入れ違いの観光客が大勢いた。外国人観光客の姿もちらほら見かけた。スケジュール上、朝一から来なくてはいけなかったのだが、これが正解だった。あと一時間遅かったら天守内も混雑していたかもしれない。次の目的地、岡山城へ向かう。


岡山駅周辺の散策

お昼前くらいに岡山駅に到着。駅構内の観光センターでマンホールカードをゲット。路面電車を横目に見ながら岡山城へ徒歩で向かう。この日は晴天に恵まれとにかく暑かった。上着を脱いでもまだ暑いぐらいで、平坦な道のりをただ歩いているだけでバテた。黒いマンホール蓋や消火栓の蓋はいくらでもあるのに、カラフルなマンホール蓋は城までの道のりにはなかった。カードに記載されたイオンモール岡山付近にしかないのかもしれない。ようやく見つけたものの、すり減っていて何か気持ち悪かった。

 

岡山城

岡山城へ近づくにつれて観光客の姿が多くなる。間違いなく外国人観光客の方が多い。

天守へ向かう前に本丸(岡山城では本段というようだ)の石垣のまわりを一周してみた。

岡山城の石垣

宇喜多、小早川、池田と時代によって石垣の積み方が異なっていて、その比較がしやすい箇所がいくつかあり楽しめる。南側入口の巨石も見応えあり。何より人気が少なくゆっくり鑑賞できるのが良い。

月見櫓

城外側への備えだけでなく月見などの小宴にも使われた櫓。国指定重要文化財

天守

天守台と1階部分が不等辺五角形になっているのが特徴。改修して間もないこともあり、近くで見ると新しすぎてちょっと違和感。

スタンプは出入口のあるフロアの柱の裏にあった。どこかわからずスタッフに聞いてやっと見つけられた。展示スペースは意外と狭く、天守内は大混雑。今まで行った城の中で一番混雑していた。展示物の前に人が張り付いていて回転が悪いので、後ろからチラッと覗いては次の展示へ移動という繰り返し。おかげで展示内容は全く記憶に残っていない。

岡山後楽園

日本三名園のひとつ。岡山城からだと、月見橋を渡ってすぐ。どこをどう回ったらいいか全然わからないので、もらったリーフレットの1時間コースを回る。兼六園の灯籠みたいに明らかに人が群がっているところがあれば、ここが見どころなんだとわかるのだが、後楽園にはそれがない。外国人観光客が桜の木に群がっているぐらいだ。

割れた岩が一番印象に残っているけど、おそらくこれは見どころではないだろう。

高台(唯心山)の上から見下ろす大きな池(沢の池)も風情があるというか趣があるというかいい感じ。

和の雰囲気に包まれて居心地がいいし、見晴らしがよく解放感もある。兼六園ほど混雑していないのも良い。ただ、中央付近は日差しを遮るものがほとんどなく春先でも暑かったので、夏場は何かしらの対策が必要だろう。

 

岡山観光を終え、この日の宿泊先・岐阜まで在来線を乗り継ぎ5時間かけて移動し二日目は終了。


三日目

三日目は岐阜城岐阜公園までは岐阜駅前から出ているバスを利用した。山頂までロープウェイが利用できるが、山城は歩いて登ってナンボ。そのために朝早くから来ているのだ。

岐阜城

まずは岐阜公園内にある登山道案内板を見てルートを選ぶ。時間が限られているので、所要時間が少ないルートが好ましい。「馬の背登山道」と「百曲がり登山道」が所要時間約40分(1.1km)なのでこの二択。「馬の背登山道」は急傾斜ありの注意マークがついているので、安全策を取り「百曲がり登山道」をチョイス。

百曲がり登山道

案内板から登山口まで徒歩5分と少し離れている。登山口から道が狭く木の枝がせり出している。『え?出だしからこれ?』と一気に不安になる。枝がせり出しているのは最初だけだったが、岩肌が露出し道なき道を行くようなところが多い。本当に危険と思われるところには木製の通路が設置してあるので転落する恐れは少ない。

15分ほど登ったところで開けた岩場に着いたので少し休憩。そこには「岐阜城まで残り900m」の案内が。『確か百曲がり登山道は約1.1kmだったはず、まだ200mしか進んでないのか』と軽く絶望する。(岐阜城天守は「百曲がり登山道」のゴールよりもっと先にあるので、実際はもうちょっと進んでいた。)

約30分でロープウェイのりばへ到着。『あれ?結構早く着いたな』かなり息が上がっていたのだが、なかなかのハイペースで上っていたのだろうか?

天守に到着

ロープウェイ乗り場から天守までは上り坂が続く。舗装されているし登山道に比べれば全然大したことない。堀切や門跡など数少ない遺構を見ながら10分弱で天守に到着。

予定通り9時前に到着したので、天守の開館までくつろぎながら待つ。9時を過ぎても開館する様子がないので改めて調べてみると、なんと開館は9時30分からだった。あたりを散策する気力も体力も残っていないので、体力の回復に努める。9時を過ぎたあたりから、山頂に続々と人が集まり始める。常連さんらしき、それっぽい格好をした人たちが言葉を交わしている。極めつけは開館2分前にツアーの団体客が到着。なんてこった。前日の岡山城天守の悪夢が頭をよぎる。『団体客が出てくるまで、もうちょっと待つか』と団体客をやり過ごそうと待機していると、次の団体客が到着。『こりゃ、たまらん』とやむなく入館した。

天守岐阜城資料館

入館料(一般200円)を支払い入館。見た目に反して内部は広く、回転が早いのでそれほどごみごみしていない。展示にサッと目を通すぐらいの余裕はあった。山城だけあって景色は良く、遠くまで見渡せた。

100名城スタンプは天守内にあった。(私のスタンプ帳には岐阜城資料館が設置場所と記載されている)。常設されていないので、受付で出してもらう必要がある。

岐阜城資料館は、大河ドラマ麒麟がくる」の衣装展示会場といった感じだった。本木雅弘さん演じる斎藤道三の蝋人形がリアルだった(画像なし)。

めい想の小径

上りで通った「百曲がり登山道」で下るのは嫌、それよりキツそうな「馬の背登山道」は論外。何となく緩やかそうな「めい想の小径」で下ることに。(ロープウェイは、はなから選択肢にない。)

出だしからいきなり岩場の急な階段、想像していたものとはかなり違う。登山の素人目線から見ると、頂上まで残り700m、岩肌が見えてくる辺りからは「百曲がり登山道」と大差ないと思う。

春休み中だからか、親子連れと何組もすれ違う。まだ10時を少し過ぎたぐらいだから、山頂でお昼でも食べるのだろうか。子供たちは元気いっぱいだが、お父さんお母さんはもう限界という微笑ましい光景を何度も目にする。

岩場を抜けてしまえば、それほど傾斜のきつくない土の遊歩道だ。下る分にはまったく問題がない。この辺でバテている人を見かけては、『ここからもっと大変になるのに大丈夫か?』と上から目線で見る余裕すらある。

開けたスペースに出たところで、少し先の方に動いている数体の小動物が目に入る。どうも小鳥ではなさそうなので、近づいてみる3~4匹のリスが動き回っていた。

ちょこまかと動いてなんとも可愛らしくて癒される。野生のリスを見るのは初めてで、こんな人目に付くところまで出てくる動物だとは思わなかった。

途中、リスの撮影に夢中になったが、50分ぐらいでふもとの岐阜公園に到着した。

織田信長居館跡

巨石列の通路や石積みの穴と階段など見どころはあるが、建物が残っていないので城跡同様に想像力が必要。


これにて岐阜城見学は終了。再びバスに乗り、岐阜駅前まで帰った。

 

あとは、来た時と同じ路線で家まで帰るだけである。大糸線で反対を走っている電車がシカと接触したとかで、少々停車したが、時間通りに家に着いた。


今回の旅を振り返って

感想と反省

青春18きっぷを使った貧乏旅行であったが、初日の移動以外はほぼスケジュール通りにいった。岡山城は残念だったが、福山城岐阜城はおおむね満足。3つの城を回れたのは大きい。そこまでスケジュールを詰め込まなかったので、ラーメンを食べるぐらいの食事の時間はあった。次こそはご当地グルメといきたいものだ。

とにかく外国人観光客の多さに驚く。岡山城は冗談抜きで外国人の方が多かった。観光地だけでなく松本駅から中津川駅間の電車内でも登山ウェアの外国人を多く見かけた。例外的に岐阜城ではあまり見かけなかった。なんでだろう。

今回の旅の戦利品

  1. マンホールカード 3枚