北陸周遊乗車券で挑む小浜線キャンペーン

2023/03/23 ~ 2023/03/24

プロローグ

「北陸周遊券が終了だって?」

JR西日本の企画乗車券「北陸周遊乗車券」が2023年3月31日をもって終了することを知ったのは3月に入ってからだった。「どうせ2024年度もまた販売するんでしょ?」と思いきや、ガチで終了するようだ。石川や富山へ旅行する際には毎回利用していたきっぷである。購入するためには北陸新幹線に新幹線eチケットで乗車するというステップを踏む必要があるものの、上越市民が北陸三県へ旅行するにはコスパ最強のきっぷであった。「じゃあ最後にどこか行かなきゃ」と思い至るも、北陸三県へは何度か旅行しており、興味のある場所はすべて訪問済みである。今すぐ行きたいと思うようなところは思い当たらない。

「そういや「駅メモ!」で小浜線のイベントあったな。」

駅メモ!」というのは日本全国の駅を対象としたスマホのゲームである。鉄道各社とのコラボイベントも度々行われており、ちょうど小浜線100周年の記念コラボイベント開催中であった。小浜線の駅や沿線の観光スポットに行くミッションをクリアすればゲームのアイテムがもらえるというものだ。当初、このイベントに参加するつもりはなかったのだが、北陸周遊乗車券が終了ということで、行先の候補として浮上してきた。しかし、やはり決め手に欠けるのである。そもそも北陸周遊乗車券を利用すれば料金を抑えられることは分かったうえで、総合的に見てうまみがないと判断し不参加を決めたという経緯がある。

「へぇ、マンホールカードなんてあるんだ?」

小浜線イベントの対象スポットを改めて調べてみると、「敦賀鉄道資料館」と「舞鶴赤レンガパーク」でマンホールカードを配布していることが分かった。旅先で珍しいマンホール蓋を見つけて、カメラに収めることはたまにあったが、マンホールカードという存在は知らなかった。この機会にマンホールカード収集を始めてみるのも良さそうだ。こうしてイベントとは無関係のマンホールカードの存在が決め手となり、小浜線イベント参加が決定した。


一日目

今回の旅の目的は、小浜線イベントのすべてのミッションをクリアすることと記念ノベルティの入手、またマンホールカードをできる限り集めることである。記念ノベルティとマンホールカードは配布時間の制約があり、旅行計画作成の大きな妨げとなった。日帰りでは到底回り切れないため、一泊二日の行程である。

北陸周遊乗車券の入手

直江津駅から妙高はねうまライン上越妙高駅へ向かう。上越妙高駅から北陸新幹線に乗り換え糸魚川駅へ。直江津駅から糸魚川駅へは日本海ひすいライン一本で行けるというのに、このような馬鹿げた遠回りをするのは、北陸周遊乗車券の入手条件を満たすためだ。(北陸周遊乗車券はすでに販売終了しているので詳細は割愛する)。糸魚川駅にはみどりの窓口がないため、みどりの券売機プラスを利用しオペレーターとやり取りしながら購入しなくてはならない。このあたりの手順は今回で4回目なので慣れたものである。過去3回とも、ほぼ待ち時間なしでオペレーターとつながっていたのだが、この日は何と待ち人数が8人もいて10分近く待たされる羽目になった。みどりの窓口で列に並んでいるならまだしも、券売機の前で10分も突っ立っているのはなかなかキツイものがある。券売機周辺に人がおらず、「あの人、券売機の使い方わからないのかしら」と白い目で見られないのが不幸中の幸いである。乗り継ぎ10分前に購入が済み、ようやく旅の準備が整った。

ちなみに料金比較はコチラ

スタート地点・敦賀駅

糸魚川駅からは各駅停車を乗り継いで敦賀駅へ向かう。途中、金沢駅での乗り継ぎが悪いため、ここで遅めの朝食をとる。金沢駅から特急で敦賀駅まで向かうのが正解なのだろうが、根っからの貧乏性で交通費にお金をかけたくない性分なのだ。今回のように「駅メモ!」のイベントが主目的の旅ならなおさらだ。敦賀駅に到着したのは13時過ぎ。ようやく小浜線イベントスタートである。

イベント対象スポットは

の4つ、カッコ内が最寄駅である。私にとっては自発的に訪れることはない場所ばかりだが、こうした場所を訪れるチャンスが得られたと考えるべきだろう。問題はすべてをゆっくり回っている時間がないということだ。一番近い敦賀港(敦賀鉄道資料館)へは明日行く予定なので、さっそく小浜線に乗り込む。

舞鶴赤レンガパーク

営業時間の都合上、まずは舞鶴赤レンガパークへ。東舞鶴駅到着が15時過ぎ。東舞鶴駅は北陸周遊乗車券のフリーエリア外なので乗り越し精算(240円)が必要になる。グーグルマップを頼りに徒歩で舞鶴赤レンガパークへ向かう。途中、雨脚が強くなることもあったが、大抵は傘がいらない程度の雨が降ったりやんだりしていた。20分ぐらいで到着していたが、どの建物に入ったらいいのかわからず、しばらく周辺をうろうろしてしまった。

赤レンガパークで記念ノベルティのシールとマンホールカードを、近くの赤れんが博物館でマンホールカードをゲット。実際のマンホール蓋も見に行きたかったのだが、帰りの電車の時間が迫っていた。加えて舞鶴を走る車のマナーの悪さに非常に不快な思いをし、一刻も早くここから立ち去りたいという思いが強かったので、断念して足早に東舞鶴駅へと向かった。

UMIKARA(ウミカラ)

最寄り駅の若狭高浜駅に17時に到着。駅構内の若狭高浜観光協会には「駅メモ!」のノベルティ配布終了のお知らせが張り出されていた。

「ここまで来てそりゃないだろ」と言いたくなるところだが、すでにこの情報は得ていた。その上で旅行計画を立てているので全く問題はない。そもそもこの時間からUMIKARAへ行ってたんじゃ、観光協会の営業時間内(17時15分まで)に戻ってこれない。

雨の中、まずは近くにある高浜町のマンホール蓋に寄り道。道路上ではなく高浜公民館(?)の芝生の中にあり雨水が溜まっていた。このカードの配布場所は隣駅の三松駅付近なので、カードの入手は断念。

UMIKARAには12~3分で着いたから、寄り道せず信号に引っかからなければ10分で着くと思う。食堂は営業時間外だったが、スーパーはまだ営業していたのでちょっと覗いてみた。入口付近はこじんまりとしたスーパーで、奥は海産品の品ぞろえが豊富で生け簀もある。スーパーと魚屋が併設されているような感じ。2Fのテラスや近くの海水浴場から見る景色はなかなかのもので、小浜線の車窓から見えて気になっていた三角の山(青葉山、別名「若狭富士」)がよく見えた。

御食国若狭おばま食文化館

最寄り駅の小浜駅に19時に到着、辺りはもう真っ暗。そう、この御食国若狭おばま食文化館は時間の都合により切り捨てざるを得なかったのだ。雨は一段と強く降っている。このようなプランを立てた報いであろうか。駅前通りのアーケードを抜けてからは、降りしきる雨の中、薄暗い街灯の道をミッションクリアのためだけにひたすら歩く。御食国若狭おばま食文化館は小浜漁港のすぐ近くにある。付近に住宅はなく、19時を回ったばかりだというのに営業している店や会社は皆無。まさに人っ子一人いない状態である。むしろ人がいたら怖いぐらいだ。「この人、何でこんなところにいるの?怖っ」と自分のことを棚に上げて警戒心を抱いてしまうに違いない。結局、何事もないまま19時20分ぐらいに到着した。

この辺りは駐車場の照明があるので、まだ明るい方であるが、誰もいない施設というのはやはり薄気味悪い。相変わらず雨は降り続いているし、長居は無用。そそくさと駅へ引き返した。

駅の待合室では「駅メモ!」のパネルが雨で冷えた体を温かく迎えてくれた。

宿泊先の敦賀

敦賀駅へ21時30分に到着。一日目は天気が悪かったことが悔やまれるが、ほぼ計画通りに回れた。明日に備えて駅近くのビジネスホテルに宿泊する。この時期はまだ福井県が全国旅行支援を実施しており、宿泊代金の割引の他にふくいdeお得クーポン2000円分がもらえた。


次の日、このクーポンに振り回されることになるとは、この時はまだ知る由もなかった。

 


二日目

二日目は、敦賀港(敦賀鉄道資料館)の訪問がメインとなる。その前に小浜駅へ用事を済ませに行く。

小浜駅を再訪

9時に小浜駅に到着。昨晩、御食国若狭おばま食文化館のミッションをクリアしたが、ノベルティをもらっていない。ノベルティの配布は駅前の小浜市インフォメーションセンターで行われているが、昨日はとっくに営業時間を過ぎていたのだ。というわけで、わざわざノベルティをもらうためだけに、営業開始時間に合わせて小浜駅に来たのだ。こういったことができるのは、フリーきっぷを使った旅ならではだろう。

ノベルティの受け取りはすぐに済んだので、折り返しの電車の時間まで、駅の近くを散策。桜がちょうど見ごろであった。

敦賀港(敦賀鉄道資料館)

敦賀駅に引き返し10時40分に到着。徒歩で敦賀鉄道資料館へ向かう。昨日手に入れたふくいdeお得クーポンを使える飲食店がないかチェックしつつ、大通り沿いをゆっくり歩く。30分ぐらいで敦賀鉄道資料館へ着き、すべてのミッションが完了。鉄道資料館をひとまずスルーし、近くにある「人道の港 敦賀ムゼウム」でマンホールカードをゲット。港や船の写真を撮り終えてから、鉄道資料館へ入館(無料)。1階は実際に使われていた品々や模型の展示、2階は小浜線の資料や解説が充実していた。貸し切り状態だったが、そう長居もできないので15分ほどで切り上げる。マンホールカードも忘れずゲットし、マンホール蓋をカメラに収めることもできた。

後はふくいdeお得クーポンを使うだけ

敦賀駅への帰り道もクーポンを使える店を探しながら歩くが良さそうな店は見つからず、クーポンのアプリ(ふくアプリ)で検索するもまったく使いこなせず、欲しい情報は手に入らずじまい。気づけば食事するには微妙な時間しか残っておらず、敦賀駅まで急いで戻る。

駅構内の観光案内コーナー内のお土産売り場でクーポンを使うか、立ち食いそば屋(クーポン対象外)で食事をするか、右往左往しているうちに時間切れ。乗り継ぎ先の福井駅でクーポンを使うことにし、コンビニでパンを買い福井方面行の電車に乗り込む。ほっと一息ついて、そこで気づいた。

「あ、ノベルティもらってないわ」

クーポンを使うこと、お腹を満たすことで頭がいっぱいで、「駅メモ!」のノベルティのことが頭から抜け落ちてしまっていたのである。

幸か不幸か金沢方面行の特急列車が遅れており、乗車した各駅停車の電車は待ち合わせのため停車していた。今のうちにノベルティをもらいに行こうかとも思ったが、特急列車がいつ到着するかわからず下手に動けない。ノベルティはあきらめることにして電車内にとどまった。

待ち時間に福井駅周辺の散策

予定より10分近く遅れて、13時40分に福井駅に到着した。ここでは金沢方面の電車との接続の待ち時間・約40分を利用して、福井市のマンホールカードをゲットするつもりであった。すでに10分遅れているうえ、クーポンでお土産を買うとなると、時間的にはかなり厳しいものになる。

急ぎ足で配布場所の福井市企業局を目指す。途中、福井城址の桜がちょうど見ごろで足止めを食らい、またマンホール蓋が企業局から思った以上に離れた所にあったせいで時間を食ってしまう。福井駅に戻ったのは電車の発車時刻ギリギリ。まだ遅れてりゃいいのに、電車の遅れはすでに解消されている。

クーポンを使ってお土産を買っている時間はない。このまま使わずに帰るのか?どうする?出した答えは「敦賀駅へ戻る」というものだった!?

忘れ物を取りに敦賀駅

もともと帰りの行程は余裕を持たせてあったので、敦賀駅へ戻ったとしても、その日のうちに家まで帰ることはできる。だとしても、単に電車を1本遅らせれば済む話なのに、なぜまた敦賀駅まで戻るのか?

この時期は「駅メモ!」で、その日の移動距離が多いほど有利になるイベント期間中でもあった。今朝、小浜駅ノベルティをもらいに行ったのにも、移動距離稼ぎの意味合いが含まれていたのだ。敦賀駅でもらい忘れたノベルティを受け取れるだけでなく、往復分の移動距離が稼げるからいっそ戻るかと思い至った次第である。新たに生じる乗り継ぎ時間に余裕をもってお土産が買えるし、いいことずくめだ。なんか違う気がするが気のせいだ。こういったことができるのは、フリーきっぷを使った旅ならではだろう。

敦賀駅へ着くと、忘れないうちに駅構内の観光案内所でノベルティをもらった。さっき何度も素通りしていた場所だ。私が声をかける前からスタッフの方はテーブル上のノベルティシールをまさぐっていた。ノベルティをもらいに来ました感がにじみ出ていたとでも言うのだろうか。次いで敦賀の名産らしいかまぼこをクーポンを使って購入。これで思い残すことなく帰路についた。北陸周遊乗車券の使い納めだ。さよなら、ありがとう、北陸周遊乗車券。

 


今回の旅を振り返って

感想と反省

天候には恵まれなかったが、行った先々で桜が見ごろだった点だけは運がよかったと言える。普段あまり見る機会がない軍艦や警備艇を見れたのも良かった。雨の夜道を目的地に行って帰ってくるだけという経験も今になって思えばいい思い出だ。

移動手段がローカル線の電車である以上、ある程度は仕方ないにしても、常に時間に追われていた旅であった。自分で観光スポットを選んだわけではなく、「駅メモ!」小浜線キャンペーンイベントありきのプランだったので、スポットごとに電車移動が必要で元々無理があったのは否めない。加えて新しく始めたマンホールカード集めがさらに自分の首を絞める形になった。おかげでご当地グルメはおろか、まともな食事すらほとんどとれなかったのだ。今後は移動にかかる費用と時間について考え方を改めることも必要だろう。

今回の旅の戦利品

  1. 駅メモ!」ノベルティ 3種
    • オリジナルシール(敦賀版)
    • オリジナルシール(舞鶴版)
    • ミニ色紙
  2. マンホールカード 5枚
  3. JR小浜線100周年シール 2枚
    小浜市インフォメーションセンターで入手
  4. ふくいおもてな水 1本
    福井市企業局にてアンケート回答で入手

 


(おまけ)運賃比較

直江津駅から東舞鶴駅までの運賃(2023年3月現在)を比較してみると

普通にきっぷを買った場合 7970円
青春18きっぷ利用の場合 6310円

青春18きっぷ12050円(5回分)を均等に割って1回分2410円として計算。第三セクター区間(直江津駅から金沢駅)で利用できないことがネックとなり、青春18きっぷの恩恵があまり得られない。

北陸周遊乗車券利用の場合 4720円

これだけでもかなりお得であるが、北陸周遊乗車券は何と2日間有効なのだ。例えば翌日に東舞鶴駅から直江津駅まで帰るとすると、普通にきっぷを買ったり、青春18きっぷを使う場合は、同じ運賃がかかるのに対し、北陸周遊乗車券はフリーエリア外(東舞鶴駅から青郷駅まで)の240円だけで済むのだ。本当に惜しいきっぷを亡くしたもんだ。